マンションで万一火災が起きた場合の責任関係はどうなるのでしょうか?
一般的には、故意または過失で他人の財産を毀損した場合には損害賠償の義務が課せられます。(民法第709条)
ところが、こと火災に関して言えば損害が大きくなり、また被害の程度もとうてい予測しえないので「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」により故意または重過失による場合にのみ責任が限定されています。
つまりたんなる過失の場合には、失火による類焼の責任を負うことはありません。
しかし賃貸している物件から出火した場合には、また事情が異なります。
賃貸している物件は、当然に貸主に返還する義務を負います。類焼があった物件もまた同じで、この義務が果たされないときは債務不履行責任(民法415条)をおいます、これについては免責されません。
このため借家人賠償責任保険などで、このリスクをカバーしておくことが望ましいといえます。
失火ノ責任ニ関スル法律 民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。